岡山県でネクタイを手掛ける老舗縫製工場「笏本縫製」

 笏本縫製について

1968年岡山県津山市にて創業した老舗縫製工場「株式会社笏本縫製」。津山市は古くから津山城の城下町であり、現在でも当時の遺構や古い町並みを感じられる歴史ある町だ。

そんな町で現在も縫製工場を営む株式会社笏本縫製の三代目代表 笏本達宏。三代目代表として家業を継ぐ前は美容師として活躍していた笏本代表。二代目である母親の体調不良をきっかけに家業に目を向け、自らのルーツに強い思いを感じ祖母から母へと繋いだ事業のバトンを受け取る決意を決めた。

創業の始まりは、三代目代表の祖母が自宅の一室で始めた内職加工がすべてのスタートであった。当時はシャツのボタン付けから縫製まで幅広く受け、依頼を受ければどんなに難しい納期や加工にも対応していたため、周りから「魔法使い」と呼ばれるような工房になった。現在、株式会社笏本縫製が本社を置く津山市は縫製産業が盛んな地域でもあり高い縫製技術が育まれる環境で今も強く地域と共に縫製産業の盛上りと発展に貢献している。

主に大手などの下請けとして工場を営んでいたが、2006年頃には多くの単純縫製仕事は海外へ移っていく。この社会的な流れの変化に対して笏本縫製は自社の技術とこれまでのノウハウを生かして新たな挑戦を始め、ネクタイ専門の縫製工場としてシフトチェンジしていった。

 

ネクタイをつくり始めきっかけとは

様々な縫製製品がある中でネクタイを専門にしたのは、代表が幼いころに感じたネクタイへの魅力だ。
スーツにネクタイをビシッと着こなす大人に強く憧れを感じ、今でもその憧れ、「カッコイイ」と感じたものを届けたいと考えてネクタイを作っている。

独自で一からネクタイの縫製技術を学び、さらにこれまで蓄積された技術でこれまでにない仕上がりにブラッシュアップさせ、世界的に有名な絹である京都の丹後絹、山梨の甲斐絹などを生地にネクタイを仕立てている。一般的にネクタイは専業工場が作るものであるため、ネクタイとは別の縫製技術を持っている工場が作るモノは独特のしなやかさと美しさがあります。そして美しい商品を作るには何より大事にしているのは職人が一つ一つの作業に心配りを忘れないように常に手に取るお客様の顔を想像しながら商品を仕立てていることだ。

 

自社ファクトリーブランドの誕生

そして自ら手間隙をかけた縫製製品を消費者が手元に届くまでにいくつもの中間業者などが間に入ることで、「モノづくり」側に消費者の生の声が届かないことにもどかしさを感じ2015年には自らのファクトリーブランド「SHAKUNONE」を誕生させた。


縫製産業・生産業において、日本は多くの技術を持った町工場が存在しているが「モノづくり」の裏方として光が当たることが無いのが現状だ。
消費者の声が聞こえにくい仕組みや、その工場が持つオリジナリティーを逆に消費者に届けることが出来づらい状況は、昨今サステナブルを求める社会情勢に置き換えて考えると非生産的であり、生産業に限らず多くの業種において変化が求められるのではないだろうか。
笏本縫製は自社のファクトリーブランドを展開したことにより、より多くの消費者に「笏本縫製」という存在を世に広めることに成功している。

 

今後の国内生産への思い

日本の生産業は技術と蓄積された経験を持つ職人が多く存在しています。今後の国内における生産について笏本代表は、“日本製・海外製品の品質は年々上がっていて、良いものは当たり前になっている。だからこそ、今まで以上に真摯に「ものづくり」と向き合い、しっかりと伝えていくことをしなければならない。”と考えている。

 

今後新たな取り組みとは

そして昨今、私たちの環境を多きく変化させた新型コロナウィルスによる影響は、特に生産業は煽りをうけ株式会社笏本縫製も例外ではない。

本業のネクタイ生産は一時60%が無くなったとのこと。しかし、2020年3月におけるマスクの不足を受け、スタッフの賄として設計したマスクが反響を呼び、本業で大きな打撃を受ける中で笏本縫製を求める声は多く不況の中でも支えてもらっていると感じている。

生産業に限らず、業態やサービスなど新しい取り組みが求められる時代で株式会社笏本縫製のモットーは「人を美しくすること」「喜んでもらうこと」が根底にあり、ギフトオーダー商品や香りに関する事業展開を考えているとのこと。

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