創業半世紀以上、プレタポルテを手がける 老舗縫製工場「シード」

創業半世紀以上、プレタポルテを手がける 老舗縫製工場「シード」

この記事を読むのに必要な時間は約4分です。

シード株式会社について

昭和28年創業以来、半世紀以上にわたって蓄積された縫製技術を生かし、現在プレタポルテに特化した縫製工場「シード株式会社」。意外にも当初は子供服から始まり学生服を手掛け、時代と共に婦人服にシフトしていき、当時流行したウール100%の毛足の長い防寒コートなど複数のメーカーから受注していました。

優れた縫製技術とノウハウをもとに昭和45年からは、プレタポルテの企業と取引を始めるようになり、それを機に、インポート素材を多く取り扱うようになっていきます。その後、工場の拡大と共に本格的にプレタポルテの縫製工場として稼働させていくと同時に、その蓄積された技術力は称賛され、今尚様々なブランドの第一線の衣類を世に送り出しています。

 

なぜプレタポルテに特化したのか?

シードが徐々に子供服から婦人服へシフトチェンジした背景には、当時の高度成長期が大きく関連しています。物の流通経路として百貨店が徐々に人々の生活に浸透し始めたことから、婦人服の需要が高まり、自ずと多くのオーダーを受けるようになったのが始まりです。

そして現在の主軸でもあるプレタポルテの縫製工場となったもう一つの理由は、当時多くのアパレルメーカー、ブランドが立ち上がり始めた中で、各ブランドが他とどう差別化を図るかを熟考した結果、一般的な既製服とは違うハイファッションを取り入れた商品の縫製を求められた背景があります。高度な縫製技術が求められるプレタポルテの縫製に特化したことが、他の縫製工場には無い付加価値となっています。

時代の変化を的確に捉え成長し続ける中で得た柔軟な対応力、長年の新たな分野への挑戦を通して蓄積された縫製技術が現在のシードを作り上げていると言えるでしょう。

 

“モノづくり”への思い

シードの高い技術力は、高いスキルを持った人材たちから織り成されています。一つのアイテムを生み出す際、すべての職人、スタッフがきめ細かな気遣いをモノづくりに込めていく姿勢、技術、そして文化をシードは持っています。そのため、技術力を持ったプロフェッショナルを育てる環境づくりとして、個性と能力を最大限開花させる技能技術教育にも力を入れて取り組んでいます。

また、シードの工場は工程や作業を細分化し組織化を図っています。アトリエ室、パターン室、裁断部、縫製部、出荷管理部など各部署を設けることで各部署の人材の技能技術の向上に繋がり、そして一つ一つのアイテムにおける完成度を追求することができます。

シードは、Christian Diorをはじめ様々なラグジュアリーブランドの縫製を多く手掛けてきました。その中で、代表の志貴 昌弘氏から当時の思い出深いエピソードもお聞きできました。志貴氏がまだシードに入社して間もないころ、当時Christian Diorのパタンナーが仮縫いのサンプルを組む際、サンプル用のシーチング生地ではなく、通常で使われる表生地を使用していたことに驚いたとのことでした。

高いコストをかけてでも完成度の高いパターンを目指されている姿勢や“モノづくり”の極意を志貴氏は肌で感じたと言います。

数多くのモノづくりへのこだわりや情熱を目にしてきているからこそ、シードが生み出す作品は、一つ一つに思いが込められています。

 

今後の国内生産について

代表の志貴氏は、「海外での低コストな大量生産が主流となっている現代で、国内生産において多くの変化が求められる時代に来ている。」と言います。世界の中でもトップクラスのモノづくりが可能な日本は、よりセルフプロデュースに力をいれ国内産業を活性化できると期待しています。

さらに、コロナウイルスの蔓延により人とモノの移動が世界的に停滞したことで、あらゆる業界で既存の仕組みを見直す必要に迫られました。繊維・アパレル業界もその例外ではありません。そのため、アパレル業界も古い習慣や取り組みを壊し、あらたなビジネスモデルを必要としている状況であると考えています。

 

未来の取り組み

シード株式会社は業界の枠に囚われない新しいアイデアや取り組みに視野を広げ、シードでしか出来ないより良いモノづくりを常に追求することが大切であると考えています。今後とも、手に取る人たちに喜んでいただけるモノを継続して作り続けていきたいと考えています。

また、昨今はコロナにより多くの変化がもたらされており、これまでの常識が通用しなくなることも増えていくと思われます。今後、国内アパレル業界が時流に添った業界へと変化することを期待しています。

今後代表の志貴氏は新たな活動として、ファッションや服などに興味をもたれている若者や学生に、縫製のワークショップを通じてものづくりの面白さを伝えていきたいと語っています。